行事編

 

フェスタラウン(Fastelavn) クリスマス (Jul)

フェスタラウン (Fastelavn)

 2月上旬の伝統行事で、Festelavnの語源は断食の前夜。北欧の古くからの言い伝えによると、春を迎えるお祭りの前に断食をするらしく、その断食の前に人々はおおいにご馳走を楽しんだとか。そのなごりとして、現在では幼稚園や学校など子供の集まる場所で、子供達が仮装パーティーをします。そこでは、吊るされた樽をみんなで交代で叩いて、樽を叩き壊した子供が猫の王、猫の女王と呼ばれ、そのパーティーのスターとなります。

 樽の大きさは直系約30cm、高さは60〜70cmくらいのもの。これをバットで叩いて壊すのです。 ところがこの樽、むちゃくちゃ頑丈で、子供の力ではなかなか割れない。
大人達が、適当にときどき壊れやすいように割れ目を入れてやらないと、とてもじゃないけど子供だけでは一生かかってしまうくらい。

 樽叩きだけでなく、仮装した子供達は「お菓子をくれないといたずらするぞ」と歌いながら、お菓子や小銭の入ったかん缶を振りながら近所の家々を徘徊します。 さながら北欧のハローウィン、といったところです。 フェスタラウンの週末は、小銭を財布に忍ばせておかないといけません。 歌声と、かん缶を振る音が聞こえると、私たちも玄関へ出てかん缶に小銭を入れてあげます。

 それにしても、近所の子供がお金を無心に来るのは、なんとなく合点がいきません。 なかには、「いったいお前らどこから来てん?」と聞きたくなるくらい、一度も会った事のない 隣人なる子供達が玄関先に立っている事もしばしばです。 「よーけ稼いでんな」と思わず、大阪弁で声をかけてしまう始末です。

 うちの息子はまだこの集金活動!?のことは知識としてインプットされておりませんが、4歳くらいから何になりたいかリクエストするようになり、それまで同様、私が手作りの衣装を毎年制作しております。

 2歳の時はてんとう虫、3歳はミッキーマウス、4歳はワニ、5歳になってキャプテンフック、6歳は忍者と、変身するものも年齢に応じて大きいお兄ちゃんにふさわしくなってきました。それにしてもわれながらなかなか上出来です:)。

 いずれにしても、寒い時期の春を迎える期待と喜びが、この行事には込められています。  

2歳 てんとう虫 3歳 ニッキーマウス 4歳 ワニ

 

5歳 キャプテンニック 6歳 忍たまニコ太郎
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クリスマス (Jul)

●クリスマスの起源とそれにまつわるお話

 北欧のクリスマスの起源は、バイキングにあるそうです。 Julはバイキングの言葉でキリスト教とは関係なく、 21日のshortestdayから日が長くなっていくことをお祝したそう。 それを、後から入って来たキリスト教が、バイキングにも受け入れやすいように、 そのお祝をクリスマスに重ねたらしい。 そのお祝でも、バイキングは食べて食べて、飲んで飲んで、油の多い食べ物をたくさん食べて、 寒さに備えたと言うか、それが幸運につながる、とも言われたとか。

 Julenisse(ユールニーセ)という妖精は、バイキングの古い神様として信じられいたもので、 そのJulenisseのかぶっていた白いぼんぼりの付いた赤い帽子からサンタクロースが赤い帽子をかぶるようになった。サンタクロースの起源が北欧にあるのも、このあたりから、らしいです。

 このJulenisseは、家の屋根裏に住んでいるとも言われています。 バイキングのなきあと、家に住みついて家の守り神となったようです。 どこの家の屋根裏にもこのニーセが住んでいると信じられていて、 いわば、家に住む妖精というか、小さな魂というか、霊というかそういうものだそう。

 家の主がニーセに対して、快くしていれば悪戯はしないけれど、 特にイブの日に屋根裏にポリッジを置き忘れたりすると、とんでもない悪戯をするそうです。 でも、仲良くしていれば、ニーセが福をもたらしてくれる、とも言われていて、 屋根裏にポリッジを置く習慣は今でも残っています。 特に、農場主はこの習慣を今もきちんと続けているとか。 ポリッジをあげるのを忘れると、牛を殺してしまう、とさえ言われている、ちょっと そう言う意味では小さいけど怖い妖精です。 でも、仲良くすれば、守ってくれる可愛い妖精になるわけです。

 ニーセは、またJuleman(サンタ)のお手伝いもする妖精です。 サンタの子供達へのプレゼントを作る工場で働いているのはこのニーセたちです。

 とまあ、いろいろなかたちのニーセがいるのですが、大人の男性のニーセはNissefar(ニーセファー)、 女性はNissemor(ニーセモア)、男の子はNissedreng(ニーセドゥランゲ)、女の子はNissepige(ニーセピー)と言うように呼ばれ、子供達に親しまれています。

 デンマークのクリスマスデコレーションには、このニーセがかかせません。

●習慣

・ユールカレンダー(クリスマスカレンダー)
12月1日から24日まで、ユールカレンダーが始まります。 子供達は、毎日小さなプレゼントをもらい、24日の本番を心待ちにします。 食卓には、日付けの入ったろうそくが置かれ、1日から毎晩24日まで、少しづつ火を灯します。 テレビでも、ユールカレンダーの特別プログラムが放送され、毎日、子供も大人も楽しみに見ています。

 ユールカレンダーとは別に、クリスマス前の4回の週末に、ろうそくを灯す習慣もあります。 4本のろうそくを円形に並べて、アレンジしたもので、週末の度に、1本づつともし、2回目の週末には、1本目と2本目を、3回目の週末には1本目2本目に加えて3本目を、そして、クリスマスを迎える直前の週末には、長さの違う4本のろうそくを一度に灯します。

・ユールフロコスト(クリスマスランチ)
会社などで行なわれる、日本で言う忘年会のようなものです。 たいてい金曜日の午後から始まり、会社でゲームや軽食&アルコールを楽しんだ後、外へみなで夕食を食べに行くケースが多いようです。

 このユールフロコストとは、違って、実際に25日のお昼に、イブには会えなかった友人や家族を交えて、日本のお正月のように、昼前くらいから延々とランチを食べる習慣もあります。

・ユールヒュッゲ(クリスマスアレンジメント)
 幼稚園や会社などで、クリスマス前の日曜日に催されるお楽しみ会、のようなものです。 共通しているのは、クリスマスツリーを囲んで、サンタといっしょに参加者が輪になって歌を歌って踊ることと、エーブルスキュアというだんごドーナツとグルック(赤ワインに木の実などを入れて暖めたもの)をいただくこと。 それ以外には、みなでクリスマスオーナメントやクリスマスのためのデコレーションを、作ったりして、お昼間のひとときを楽しく過ごすものです。

・ユールアフテン(クリスマスイブ)
 イブの日のお料理は、家庭によって少しづつ違いますが、たいていが、あひると豚の塊をオーブンで焼いて食べます。あひるは中にプルーンなどを詰めて、豚肉は表面の脂肪分をカリカリに焼いていただきます。 付け合わせは、レッドキャベツ。主食はゆでたじゃがいもと、じゃがいもの砂糖炒めです。

 デザートには、お米をミルクで煮たポリッジを冷やして、生クリームで和え、そこへアーモンドを混ぜた「リーセアラマン」というものをいただきます。
アーモンドは細かく砕いたものを入れてあるのですが、ひとつだけひと粒丸ごとのアーモンドが入れられ、そのアーモンドに当たった人は、アーモンドギフトを手に入れることができます。

 夕食後、ツリーを囲んで、家族が手をつないで輪になって、ユールサンゲ(クリスマスソング)を歌いなながら踊ります。デンマーク人は、ほんとうに歌の好きな国民です。みな、歌詞を間違えずに、何曲も歌います。私はいつまでたっても、節は覚えられても歌詞はなかなか覚えられません。なので、ほんとに感心してしまいます。
ツリーには、ほんとうのろうそくを灯す家庭も少なくありません。我が家は子供がまだ小さいので、ライトですが、、、。 また、ダンスのときだけ、ツリーに小さな花火をつけることもあります。そばに水を入れたバケツを置いてね:)。

 そして、クライマックスはユールマン(サンタ)の登場。家族のうちの誰かがユールマンに扮装し、「ユールマン!ユールマン!」のかけ声に答えてリビングに入って来ます。 そして、ツリーの下のプレゼントをひとつひとつ取り上げて、誰から誰のプレゼントかを読んで、渡して行きます。 こうして、全てのお楽しみは終わります。 あとは26日まで(日本で言う正月三が日みたいなもん)、ゆっくりと過ごすのでした。  

プレゼントを付けたユールカレンダー
日付のついたカレンダーキャンドル
生のクリスマスツリー
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