Dr. Fujita のお話

 

親知らず
■親知らずの一般的解説
親知らず(歯医者は8番と言います)の抜歯の難しさは、
・歯の傾き(水平になっているほど難しい)
・歯の位置(深く骨の中に埋まっているほど難しい)
・歯の根の形(根が3根であったり、ラッパ状に開いているほど難しい)

あと、下顎の骨の中に下歯槽神経が通っているのですがこの神経の中に根が突っこんでいる場合は、抜歯後神経障害が残る場合もあります。

骨に癒着している場合(これは、抜き始めないとわかりません)や、根っこが骨を抱いている場合は、大量に骨を削らなければならず後出血が予測されます。

真横を向いていると言うことになれば、かなり長時間の抜歯時間が予測されますので、親知らずと反対側の顎関節にもしばらく疼痛があると予測されます。

抜歯後、骨を削るほど腫れが出てきますので、開口障害と嚥下障害が1週間ほどおこります。

前の歯を押しているために痛みが出ると言うことは普通ありません。前の歯が、押している歯のせいで虫歯になって痛むことはあります。  

歯の位置が、比較的上の方にある場合(特に歯ぐきから歯の一部が見えている場合)感染が起こりやすくなります。
また体調が崩れると感染が特に起こりやすくなります。この感染のために、腫れと痛みが起こります。
虫歯の場合は別です。  

感染や痛みがある場合は、抗生剤で感染が治まってから抜歯するのが一般的です。(虫歯で痛い場合は、即抜きます。)

歯の一部が見えている場合、歯の上に歯ぐきが乗っているだけの状態ですので(まっすぐ普通にはえている歯は、根っこ と 歯ぐきは、吸盤のイメ−ジでくっついています)食べかすやプラ−クが入り込みやすく、体調の低下すなわち抵抗力の低下が起こると化膿しやすくなります。 

歯ぐきから歯の一部が見えている場合は、一般的には、そんなに大変な抜歯になることは少ないように思います。
骨をさわらなければ、そんなには腫れることもありません。

根の形が複雑であったり、骨を抱いてたりする場合は別ですが・・・
(親知らずの根の形は、性格に似るとよく言われます。)


■親知らずの抜歯方法
抜歯の方法ですが、歯の周りに打つ浸潤麻酔(普通の麻酔)と下顎半分を痺れさせ る伝達麻酔の両方をすることが多いようです。
伝達麻酔は、1時間以上効いています。
歯ぐきを切開しめくります。歯が見えている場合は、歯を切断し小さくしてから抜歯しますが、見えていない場合は、骨を削除していきます。骨ノミと言う道具を使います。大工さんが使うノミと同じで、ハンマ−で叩いて、骨を割っていくのです。
原始的な方法ですが、エンジンで削るよりも骨への影響が少なく予後も良いとされています。
歯が見えた時点で、歯を切断し(これはエンジンでやります)抜歯します。
最後に、歯ぐきを縫合します。  


■抜歯後
 抜歯後の腫れは、2,3日目が、ピ−クになります。4日経っても腫れがひいてこない場合は、抗生剤が  効いていないこともありますので、薬の種類を変更することがあります。

 腫れのため、口も開けにくく、飲み込むのも大変だと思いますが、プリンでも何でもいいですので食べれる物を食べて下さい。
頭痛に関しては、解熱鎮痛剤でとりあえず抑えて下さい。  
1週間はしんどいと思います。


■薬
ペニシリン系は、歯科ではもっともポピュラ−な抗生剤です。
多くの種類の菌に対して有効で、副作用も少ない昔からある薬です。だだ、昔からあるため、ペニシリンに効かない菌(耐性菌)も増えていることも確かで、4日ぐらい経っても腫れがひいてこない場合は、他の種類の抗生剤に変えます。
また、ペニシリン系に合わない人も当然いますので、発疹が出るとか体に異常があれば早めにドクタ−に連絡して下さい。